以前に人からもらって積読になっていたのだが、最近、100de名著の動画でアドラーの回を見て心理学が気になったので読んでみた。
著者は和田秀樹さん。
受験絡みの本で良く聞く名前と同じだなと思っていたら、その人でした。
本業は精神科医だったんですね。
本書は7章立てになっています。
1章ではフロイトの影響を色濃く受けたコフートがいかにそこから脱却して、コフートなりの心理学に達したのか、コフートの心理学がどのようなものなのか。
2章はコフート心理学はどこを起点に成り立っているのか。
3章4章5章ではコフート心理学の基本的な考え方について。
6章ではなぜコフート心理学が効くのか。
7章では筆者がなぜ現代にコフート心理学が良いと考えているか。
が書かれています。
コフートはオーストリアの出身の精神科医でアメリカ精神分析学会 の会長になったり米国の心理学界にはかなり影響を与えて有名な存在のようです。
しかし日本ではほとんど知られていないそうです。
著者曰く、日本の精神分析の世界ではいまだに(2015年の本なので2015年当時)フロイトを信望している人が多く、フロイトの教えから逸脱したコフートに関心を持っている人はあまりいないそうです。
コフートの心理学は「自己心理学」と呼ばれていて、字面だけだと自分について内側からのアプローチの心理学なのかなと思ったのだが、実際は他者を通じての自分を表していて、自分について表側のアプローチの心理学でした。
フロイトの無意識とか自我とか内側からのアプローチとは全く違う感じでした
私はなんでもかんでも、内面的な欲求に収束するフロイトの精神分析は破綻した理論に感じるので、コフートやアドラーが離脱していった気持ちはわかる気がします。
しかし、日本の精神分析の世界では未だにフロイト幅を利かせてるなんてどういう事なんでしょう。
医者になるくらいだからとても頭良い人達なんだろうから、研究が進んだ今の世の中でフロイトの理論がそもまま適用できるとも思っていないだろうにと思うのですが。
コフート心理学の基本的な要素としては「鏡」「理想化」「双子」の3つがあり、それぞれ良い意味で他者への依存によって精神の安定が図られるような理論です。
詳しくは本書を読んでいただければよいですが、著者の説明が上手くて理論がしっかりしてるので、初見で読んだ限りでは、すごく合点のいく理論でした。
ちょっと考えただけでも、自分にも周辺の人にも適用出来る部分が少なからずあるなと感心しました。
ただ気になったのは、コフート心理学では甘えに対してかなり寛容ですが、もう一つ良く出来てるなぁと思っているアドラー心理学は甘えに対して厳しいので、この差がどこから生まれているのか気になりました。
対象となる病状の違いなのか、理論の起点からの違いなのかとか。
また、カール・ロジャーズの来談者中心療法と言うのに似ているらしいけど、なんとなく聞いた事がある程度なのでどんなものかその内、調べようと思います。
入門書なので実際にじゃあどう適用するのみたいな話はあまり無いので、この本だけでコフート心理学を日々に生かすのは厳しいかと思いますが、入門書としては良く出来ていると思いました。
フロイトとかアドラーとかみたいにいろんな本が出ているわけじゃないですが、訳書や和田さんの著作なども他に数点あるようなので、いいきっかけなので読んでみようと思います。
