※ネタバレ注意
引き続き読んでしまった。
短編集で比嘉姉妹シリーズ5弾目らしい。
ほんとは3弾目が「などらぎの首」だったらしいが、飛ばしてしまった様だ。
5つの話が収録されている。
最初の「鏡」と言う話は「ぼぎわんが、来る」の前日譚で、ぼぎわんでも出てくる秀樹と言うろくでもない人物が主役なのだが、今作でもろくでもなかった。
映画では妻夫木君が演じているのだが、妻夫木君の演技が上手すぎなのだろうけど、すっかり私の中では妻夫木君はろくでないヤツと言う印象になっている。
表題作の「ぜんしゅの跫」では、発行年月日からすると「ぼぎわんが、来る」が映画化された「来る」が公開後のせいか、琴子(映画では松たか子が演じている)がカラオケで「レリゴー」を歌ったと言う小ネタがあって思わずニヤリとしてしまった。
作者が作中に小ネタを散りばめるのが好きなのか、ちらちら他の人の作品に言及していたり、作者と私の年代が近いせいかちょっとツボに入る様なネタがあったりと面白い。
ホラー小説としては怖さが緩和してしまいる。
澤村伊智は三津田信三が好きなようだが、三津田信三的な読後もじわじわ怖さを引きずり続けるみたいには感じなかった。
ホラー小説としてどうかは微妙な気もするが、しっかりと調べるなりなんなり準備して作られている様で、各設定から話までよく練られていて感心するし面白い。
ただ、他の作品も含めて男親に嫌な思いでもあるのかとにかく男親の描写が辛辣な気がする。