飛ばない豚

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「読みたいことを、書けばいい。」田中泰延

読みたいことを、書けばいい。

田中泰延さんの期待に反して、ブックオフで220円で手に入れてしまった。

ちょっと前にそれなりに評判になっていたと思っているのだが、どうせイケイケの人がうっすい事を書いてるんだろうなぁとか、そもそも文才のある人がわけわからん理論を語っているだけだろうなぁと勝手に思っていて手にとってすらいなかった。

しかし、休日にブックオフ本社そばのブックオフプラスにふらりと寄った際に、たったの220円ですっごくきれいな状態のものが置かれていたので、パチンコで散財する事に比べれば微々たる金額なので損しても良いだろうと中身も見ずに買ってしまった。

結果、自分が文を書く際にモヤモヤしてた事を見事に解消するような事が書かれていて古本屋で買った事を著者に大変申し訳なく思うくらい良い本であった。

古本はすぐ捨てれるからという理由で買う事を許可されているが、新品だと捨てれないからなかなか許可が下りないため、申し訳ないが今度、kindleで買おうかと思う。

古本屋経由では著者に1銭も入らないのでAmazonに中間搾取はされるが多少は著者に還元されるであろうと言うことで許してもらいたい。

 

ターゲットなど想定しなくていい

ターゲットなど想定しなくていい

プログラミングでご飯を食べてる身としてはペルソナの大事さは痛いほどわかってるつもりである。

とにかくちゃんとしたペルソナを設定せずに作ったシステムやアプリはめちゃめちゃ使いがってが悪い。

対象を幅ひろくしていいとこ取りをしようと作ったシステムは気づけばごみの集大成だ。

ある会社の経理のシステムを作りたいなら、経理の何々さんが使う事を想定してその何々さんが使いやすいように作った方が結果として他の人も使いやすいようにできるのだ。まぁ同じ業務をやってる人が使うのだから当然だ。*1

そして文章術の本やブログの文章についての記事などを読むとしっかり、読者を想定して書くように書かれている。

が、私は仕事ではないのでわざわざ想定した人に近い人にインタビューも行わないし、その辺で人間観察したりもしない。

結果、わかるであろう範囲の自分に似た感じの属性の読者を想定をするのだが、その人が読みたいものって結局、自分が読みたいものなのだ。

そうするとこの本が言うように自分が読みたいことを書くのが良いのである。

ただ、私が読みたいものは自分が書いたものではないのだ。

そこだけ微妙に引っかかっている。

しかし、読者を想定して書くってどう言う事なのかまったく理解出来なくて、自分って実はすごい能力低いんじゃないだろうかとか、出来てるやつらはニュータイプなんじゃないだろうかとかもやもやしている気持ちの半分くらいはすっきりした。

 

だれかがもう書いているなら読み手でいよう

だれかがもう書いているなら読み手でいよう

私にも一時期はブログでお金稼げるかもなんて甘い幻想を抱いていた時期がありました。

ブログアフェリの本とか読むとよく書いてあるけど、自分が体験した事を自分の言葉で書けばオリジナリティーのある記事になるとか、自分にとって当たり前のことが他人にとっての当り前じゃないから書こうみたいな事が書かれている。

しかし、皆さん優秀過ぎて、大量にそのような記事を上げられた結果、もちろん全く同じとは言わないが、私がしたような体験や経験等についてはほぼ同じような事がすでに書かれいる。

それをわざわざ後追いで私が書くことに意味を感じないと言うかなんか打算的な感じがしてしまうとかあって全然、手が動かないのである。

そこを田中さんはそれなら読み手のままでいれば良いと説いておられる。

まったくその通りだ!

特にHowTo系は私が書く必要なんてほぼない。

ただ本だったり映画だったりの感想はその人の背景だったり語彙だったり様々な要素が絡んだ結果として、考察系でなければ本当に千差万別だと思うので書きやすいし、他の人のいくら読んでも楽しいと思うので書かせて欲しい。

 

承認欲求を満たすのに「書く」は割に合わない

承認欲求を満たすのに「書く」は割に合わない

これも良く言ったと思う。

本当、承認欲求をみたそうと書いてる人をたまに見かけるがことごとく打ち砕かれている。

だって書くってすごい大変だもん。

特に他の人に響かせようとすると自分の知識と経験総動員するか、しっかり調べて書く必要がある。

そしてプログラミング業界も最近、煽って金を巻き上げようと言う輩が多いせいか、変にそんな夢見てくる人が多い。

でもプログラミングって仕事としてめちゃめちゃわりに合わないと思うんだが、常に勉強勉強。ほかの仕事もそうだろうって話ではあるが、ペースも広がり方も尋常じゃない。そのくせみんな自分の知ってる事は他人も知ってるベースで話してくるし、知らないとみるとマウントを取りくる。

くそむかつく業界なのだ。

そして承認欲求を満たしたいみたいな人が満たせるくらい頑張れるなんてほんの一握りだ。

正直、同じ労力でほかの業界だったら中小企業でお山の大将くらいできると思う。*2

だから来るなよと言いたい!

そしてそれでも来るならワークライフバランスとか言わずプライベートはすべて犠牲にしてプログラムに捧げるくらいの覚悟で来いや!

あまりに最近、私のところに回ってくる若い子達がろくでもないので思わず取り乱してしまった。

 

つまらない人間とは「自分の内面を語る人」

つまらない人間とは「自分の内面を語る人」

とっても良く理解しています。

でも、許して。

ブログで「今日、上司に怒られちゃったテヘッ!」くらいの事を書いて解消できる気持ちもあるんです。

あーこいつつまらん人間だなと思ってスルーしてほしい。

 

すごい真面目な本なんじゃなかろうか

その辺の親父が良く言うレベルのくだらない冗談みたいな事がちりばめられていて、最後まで読み通せるのかと思ってたけど*3、言ってる事は至極真っ当。

書くための指針だけじゃなく、図書館の使い方や実際にどう書けばいいかに近いことまで書かれている。

「おいまだ夢見てんのか!」って言われそうだが、この本あればブログアフェリ出来るんじゃなかろうか。

しかも私がモヤモヤしてるところこれだけ解消してくれるって少なくとも私よりは深く物事を考えていらっしゃるのだなと感心。

ちょっと前に読んだ齋藤孝先生の

「だれでも書ける最高の読書感想文」

も書く事に悩んでいる私にある程度の指針を与えてくれたと思っているが、こちらは下手すると自分の座右の書に割り込んでくるのでは無いかと思うくらい良い。*4

220円で買っておいてなんだが、この本を古本屋に売る人の気が知れない。

そう言う意味でもやっぱ今度kindleで買おうと思います。と言うか買います。

読みたいことを、書けばいい。

読みたいことを、書けばいい。

  • 作者:田中 泰延
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: Kindle版
 

*1:ただし、何々さんがやばい人ではない前提

*2:もちろん医療系とか研究系とか同じように頑張らないといけない業界もあるのは認識しています

*3:ちなみに原田宗典さんのエッセイとか椎名誠さんのエッセイとか好きなのでノリは嫌いじゃない

*4:こんなとこで言うのなんだけど、座右の書は「人生の短さについて」セネカ、「論理学」エティエンヌ・ボノ・ド・コンディヤック、「プログラマー現役続行」柴田芳樹、となります。