※ネタバレあり
「ぼぎわんが、来る」「ずうのめ人形」が面白かったので勢いでさらに「ししりばの家」も読みました。
専業主婦の果歩は偶然、幼馴染の平岩と出会う。
平岩の家に招かれる。
家を訪れるとその家は砂だらけだった。
しかし平岩はまったく気にしていなかった。
また、引きこもりの五十嵐は小学生の夏に体験した出来事にとらわれ続けていた。
ありがちは幽霊屋敷に忍び込むと言う体験だったが、それは現在の平岩邸であった。
前作の「ずうのめ人形」がホラーと言うよりミステリーだったが、今作はもう少しホラー寄り。
なのにあんまり怖くはない。
物語の後半は琴子の同級生で怪異が原因とはいえ引きこもりの五十嵐が社会復帰するための話に見える。
そのせいか読後の感じとしては青春小説を読んだ後の様なすがすがしささえある。
もちろんその事が、物語の足を引っ張ったりしない。
「ぼぎわんが、来る」にて琴子は最強クラスの霊媒師のはずだが、ししりばとの対決は安心感はなくハラハラさせられた。
作者が狙ってやってるんだと思うが、1作目2作目3作目とこんなにテイストを変えてもクオリティーが全く落ちないのは、なんと言うかただただ感心してしまう。
「ぼぎわんが、来る」がホラー小説にミステリーを持ち込み、「ずうのめ人形」がホラーを舞台装置にしたミステリー小説、「ししりばの家」がホラー小説に青春小説を持ち込んだように感じている。
作者の多芸っぷりにも感心するし、それを破綻を感じさせなくまとめているのも感心。