めちゃくちゃ久々に小説読んだ。
なんとなく表紙に惹かれて手に取って帯をみたところ、面白そうだったので買ってみた。
2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位の人の作品らしいし。
主人公はキム・ジヘ。韓国ではありがちな名前らしい。
就職に失敗してインターンとして日本で言うカルチャースクールみたいなところで働いてる。
自分に自信も持てず、本当にやりたい事もわからない。
社会や会社に不満はあるが、何もできずただ毎日が過ぎていく。
そんなジヘの職場に新しく来た同僚のギュオクとの出会いが、すこしづつジヘを変え始める。
ジヘとギュオクは職員なら1講座をただで受講できるのでウクレレ講座を受講することにする。
そこで作家志望のムシン、中年男性のウンジュと言う2人と出会い、4人で不条理な世の中に小さな反撃を開始する。
韓国の小説だけど、今まで読んだ日本の小説のどれより登場人物と自分を重ね合わせやすかった。
社会や会社に対する不満、閉塞感、そしてどうしようもないだろうと言う諦め。
どんな反撃をするのだろうとわくわくして読んだけど、ちょっと違った。
帯ではすべての人に勇気をくれるとあるが、正直、勇気をもらえる人は何人いるんだろう。
帯書いてるやつは私が苦手な超ポジティブな人なんじゃなかろうか。
小説だからあたり前だけど、それなりにご都合主義で現実はこんな風にはいかない。
と、こんな事を書くと小説面白くなさそうと思うかも知れないけど、そんなことないです。
とっても読みやすい。翻訳者の矢島暁子さんが巧みなんだろけど、すごく読みやすい。
物語の主軸がずれない程度に恋愛模様があったり、緩急もあって楽しい。
そして別に浮世離れした事が書いてるわけではない。
やろうと思えばきっとこれくらいやれる。
そう言う意味で勇気づけられる人もいるのかも知れない。
ただ、じゃあ小説に書かれているような行動がとれるかと言われたら、私には無理です。
職場の人に愚痴ってたら小説と同じような事を言われた覚えがある。
そして多分、出来る人には出来ちゃう。
でも、私には出来ないです。
それを言うとじゃあずっと閉塞感の中で生きて行くんだねと言われそう。
だけど、それも違うと思う。
若い頃の自分ならそう思ってこじらしていた気もするが歳を重ねて思うけど、そう言うもんでもないんだよね。
時間ってすごいもので自分の中で抱えてるものって、解決してようがしてまいが少しずつ昇華されて行ってる気がする。
別にあきらめもしてなきゃ能動的になってるわけでもない。
なんかそこが最終的にこの本に対して違和感になってる気がする。
と言いつつ、そこそこの値段する割に損した気には全くなってないので良い本なんだと思う。
2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位を取ったのはこれ