飛ばない豚

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映画「黒い春」

Amazon Prime Videoのサムネイル画像が高嶋政伸でなんとなく「感染」と言うホラー映画を彷彿とさせる感じだったので観てみました。

映画かと思っていたらWOWOWでやっていたドラマなんですね。

 

あらすじは、ある年の春に黒い粉を吹きだして人が死ぬと言う事件が起きて、監察医である飯守俊樹(高嶋政伸)が解剖する。死体の内臓は真っ黒になっているので、組織を検査機関に送ると、未知の真菌である事が判明する。

その後、死因が同様の事件が相次ぎ飯守は検査を頼んだ衛生局の岩倉和子(名取裕子)、たまたま事件に関わり興味を持った、感染症センターの三和島篤郎(宮崎将)と共に黒手病と名付けられたこの感染症の原因の究明及び治療法の確立に向けて奮闘することとなる。

 

冒頭でホラーっぽいと言ったようにホラー映画である事を期待して観たのだけれど、真面目なヒューマンドラマでした。

 

真菌とは微生物の中で真核細胞を持っていて動物的でないものみたいです。

水虫とか真菌なんですね。

今まで細菌と同じかと思っていたけどだいぶ違いました。

お恥ずかしい。

真菌症はなかなか厄介で、病気の原因が細菌だと原核生物なので、人間とは作りが違うため人間にはあまり影響を与えず細菌のみ効く薬(いわゆる抗生物質)が使えますが、真菌は人間と同じ真核生物なので、真菌に効く薬は人間にも多大に影響を与えやすいため、なかなか特効薬が作れないみたいです。

 

作中では原因究明がほとんどで薬剤開発はあまり触れられないですけど。

 

ここからネタバレですが、

作中の真菌はもともと「ニオイウキグサ」と言う植物に感染してサビ病を起こす原因となるものでした。

冬になるとニオイウキグサは枯れるので真菌は生き残るため胞子を飛ばして中間宿主にに寄生しようとします。

その中間宿主が人間で胞子を吸い込むと感染すると言う仕組みです。

実は遣隋使として小野妹子が隋に行った際、帰りに連れてきた隋からの使者に黒手病のものが紛れていたが、当時は日本にはニオイウキグサが無いから感染が広がらなかったとか、真菌が5月ごろになるとニオイウキグサの繁殖の時期なのでニオイウキグサに戻ろうと人間の身体から出ようとするため、病気が発症するとか、なかなか面白い話でした。

 

ただ、話の中心は感染症どうこうよりその原因究明の過程で起こる、さまざまな人間模様です。

 
俊樹には離婚歴がある妻、雪子(牧瀬里穂)その連れ子、理音(藤津摩衣)がいますが、夫婦間は良好ですが、娘の理音とは微妙です。
物語の途中で、俊樹の友人で厚生省の役人の石谷弘(手塚とおる)がこの件の担当として参加します。
黒死病の原因がニオイウキグサ経由のサビ病である事を発表するのですが、世間の混乱を招いてしまい、その対応に批判が集まってしまいます。
その結果、石谷は自殺してしまいます。
それを逆恨みした石谷の妻が、ニオイウキグサを理音に渡してしまいます。
幸い、理音は事なきを得ますが、助けようとした雪子はそれが元で黒死病に感染して亡くなります。
気持ちはわからなくないが、私だったら石谷の妻がやった事は許せません。
しかし、俊樹も雪子も許します。
そして、雪子は亡くなります。
結果、俊樹と理音は雪子の死に対しての気持ちの共有によって、絆の結び付きが強まります。
その過程が丁寧に描かれていて、とても好感の持てる内容になっています。
 
高嶋政伸さんと言うと最近は若干、やばい人な役が多いですが、そう言えば「HOTEL」とか、好青年な役も結構あったなぁと思いました。
ご両親が名優でいろいろ苦労もあっただろうに、子供も見事に名優になりましたね。
 
あと宮崎将さんはもう俳優業を引退されていますが、宮崎あおいさんのお兄さんだったんですね。
ちょっと昔はよく見かけたのですが役者としてあおいさんの方が優れているとの発言もあるようなので、いさぎよく別の道を歩まれているようです。

 

黒い春

黒い春

  • 高嶋政伸
Amazon

 原作小説