※ネタバレあり
せっかくのGWでしたが、床に臥せっていたので暇つぶしに観ました。
原作は読んだ事がないので、原作と比較してどうかはわかりませんが
映画としては楽しめました。
概要
ゾンビ映画です。
ただロードムービー的な雰囲気もあり、青春映画的な雰囲気もありでいい意味でエンターテインメント映画に仕上がっています。
主人公は鈴木英雄(大泉洋)。
30を過ぎて芽が出ない漫画家の卵。
同棲している彼女(片瀬那奈)から三行半を突き付けられ、アパートを追い出される際も奮闘する気持ちを持つ事も出来ない、意気地なしでかつ誇大妄想癖がある中年のおじさんである。
ある日、なぞの感染症によって町中にゾンビの様な人たち(劇中ではZQNと呼ばれる)があふれ出し、命からがら逃げる途中で女子高生の比呂美(有村架純)と出会う。
しかし比呂美も感染していて道中で別れる事となるが、その直後、英雄はZQNに襲われピンチに陥るが比呂美が助けてくれた事で、その後の道中も共にする事にする。
比呂美を連れつつ英雄は無事に生き残ることができるのか。
感想
我ながら「謎解きはディナーのあとで」で痛い目見たのによく邦画をチョイスしたなとは思いました。
ただ風の噂で「アイアムアヒーロー」の映画は出来が良かったと聞いた気がするので観てみた。
今年観た邦画では一番良かったのではないだろうか(公開は2016年だけどね)。
原作は花沢健吾さん*1なので、絶対、心をちくちく刺されたりしていい気持ちはしないんだろうなと思っていたが映画はとってもさわやかでした。
主人公は最初は中学生の自分を見ているようで嫌な気持ちになるんだけど、劇中でちょいちょい冷静な判断をしていたり、ちゃんと精神的な成長を見せたり。
プライドが高いのか最初は「えいゆうと書いて英雄です」みたいな事を言うんだけど、最後は「ただの英雄です」と言うようになったり。
クライマックスでZQNに囲まれても諦めなかったり。
とっても青春映画しているところが良かった。
また、比呂美と街から逃げつつ富士を目指す道中なんかは青春ロードムービーっぽくて良かったです。
特にipodをイヤホンを半分こして聞くところとか。
他の登場人物とかもしっかり描かれていて、どこかしらに自分を重ねられる部分があるんじゃないでしょうか。
私が思わず重ねちゃったのは、途中で出会ったアベサン(徳井優)。
アベサンは奥さんがZQN化してて、英雄にあれが私の妻だと愚痴りながら教えてくれるんだけど、その姿はもう愛が冷めちゃってる感じが出てる。
だけどクライマックスで妻を自らの手で葬って、その後「キョウコ今行くよ」って後を追うところは確かに愛情がちゃんとあったと言うのが良く描かれていて、すごく考えさせられました。
自分だったらどうするのだろう。
ZQN化するわけじゃないけど、今はコロナが流行していて感染させたいわけじゃないけど好きな人を感染させてしまう可能性があるし、近い人との突然の別れも現実味を帯びているので余計に考えてしまいました。
映像も良くできてて「謎解きはディナーのあとで」の様になぞのチープ感はゼロですし、たぶん監督さんの演出が良くできているんだと思います。
*1:花沢健吾さんと中山敦支さんの漫画は面白いけど、読者にいい思いをさせないと私の中で決まっている。