最近、文章を論理で読み解くための クリティカル・リーディング (NHK出版新書)と言う本を読んでいるのだけどなかなか難しいので、もう少し軽いものをと思って読みました。
漫画も差し込まれてるし、文字数も少ないし読みやすいかなと言う単純な理由なのだけど、期待を裏切ってすごく良かった。
なんとなく大学生になったような人に、丁寧にそして簡素にレポートを書くまで手順を追って書いてあるのですが、著者の学びに対する真摯な姿勢がすごい良い本でした!
大学時代の自分に読ませてあげたい。そしたらもしかした中退しなくて済んだかも。
著者は川崎昌平さん。作家で編集者で非常勤講師と言うなかなか良く分からない人です。*1聞いた事がなんとなくある本を書いているので、買っても大丈夫かなと思いました。
本書は7章で構成されて、
序章 なぜ大学でレポートを書くのか?
ズバリ本書の目的として
大学生の自発的に学ぶ姿勢を助ける目的のためにつくられた1冊です。
と語られています。
第1章 学ぶ 課題を自分で見つけるには?
簡易的なメモの取り方やノートの取り方、テーマ決めやレポートの目的設定などが書かれています。
第2章 調べる 自分の考えの基礎を築くには?
図書館の使い方や、資料の読みかたについて。
最近の本らしくちゃんとネットで調べる事に言及しています。
第3章 考える 問題を発見し、発展させるためには?
自分なりに考えてどうやって深めていくか。
今まであんまり考えてこなかった、考え馴れしてない人にも段階を踏んで考えが深められるように書かれています。
第4章 書く 自分の考えを正確に伝えるためには?
レポートの書き方。
具体的な書き方だけでなく、レポートを書くことをどう学びに生かすのかも書かれていてとっても好感が持てました。
第5章 伝える 問いを深めるコミュニケーションとは?
レポートをどう人に読んでもらって、反応に対してどうするか。
こちらもちゃんとネットに言及していて、反応に振り回されないように注意喚起されているのは大事だと思う。最近、それ絡みのニュースが多いですし。
終章 学び続けるために
学びつづけるためにどうするのか。
となっていて、段階を踏んでレポートを書いてそれを学びに生かすまでが書いてあります。
なんとなく大学生になってしまった私みたいな人(今思えば恵まれてたなぁ)とか高校とかであんまり頑張ってなくて基本が出来てない人向けの様で、すごく基本的な事を具体的に書いている。
とにかく優しく書いてあって、丁寧に進めれば出来ない事はないような内容になっています。中学生レベルでも十分読めるくらい。
一見すると学生向けのHOWTOっぽい本に見えますが、著者の姿勢は本当にまっすぐ学ぶって事を考えていて全体的に一貫して学ぶ事の大切さを説いています。
ひとつひとつ項目は高校までちゃんと勉強してきた人達には物足りないような内容ですが、そういう人達や大人でも何で学ぶのかを改めて考えるにはいい本じゃないだろうか。
本の最後で
間違っても失敗してもいいから、自分で考えて生きてみたほうが、おもしろいんじゃないかな。
と書かれているが、まさにその通り。
同じように生きているように見えて、流れに任せてただ生きているのと自分で考えて生きているので面白さは全くちがうし、ほとんどの事は自分の思った通り行かないが自分で考えて生きていれば、そんな時でもより善く生きて行けるのではないだろうか。
改めて考えさせられた1冊でした。
2023/09/18 再読
3年前に買って読んでたわりに、まったく身についてない事に驚愕して再読。
大枠の感想は変わらない。
レポートを作成するまでの心構えから考え方の基本、手順が丁寧に書かれています。
158ページとコンパクトにまとめられているけど、ちゃんとノート取りながら読んだら7時間くらいかかりました。
やるべき事の一つ一つにちゃんと意味づけがしてあって、内容に対する納得度が高いです。ほかにレポートの書き方系の書籍を読んでないので、ほかの本がどうかはわからないですが、本書は単なる手順書でもなければ、HowToでもないところがとっても良かった。
以前読んだ時は気になってなかったけど、未来をイメージする力が弱いといつも今の自分と向き合わなければならず、だいたいは不満を持ってるので苦しいって言うのはすごく心に響きました。ずっとなんか苦しくて、でもやる気が出ないのはこう言う事だったんだなと納得。未来をイメージする練習をしようと思います。
*1:「ネットカフェ難民」とか「重版未定」が有名で、実際に元ネットカフェ難民だったらしい